l.c.t.社のEOS Roof Control Moduleの取り付けと機能

※ お知らせ ※
既にmods4carsの同様のコントロールモジュールに取り替えました。
購入される方は両方のページをご覧になってからどちらにするかを検討されることをお勧めします。
2007.07.21 追記


blogのコメントで教えていただいたのですが、米Luxay Car Tuning社(以下l-c-t)がEOS Roof Control ModuleというModuleを販売しています。
これは、本来できないはずの走行中のルーフ開閉やリモコンキーでの開閉を可能にするモジュールです。
その他にも色々機能がついて価格は$400ほど。恐らく開閉装置の制御ECUの信号を乗っ取り、開閉装置を独自に制御してしまうモジュールだろうと想像できます。走行中のルーフ開閉などは開閉装置に負担がかかりそうで壊れないか心配です。しかし、どのようにして装着されるのかという興味と、ある機能に魅力を感じて購入してみることにしました。

ある機能とは、「ルーフオープン後にサイドウィンドウが上がらないようにする」機能です。
EOSのルーフ開閉はレバーを維持している間だけ動作します。ルーフ動作が終了すると確認音が出た後、レバーがまだ維持されていれば一旦開いていたサイドウィンドウが上がり始めます。ウィンドウを上げたくなければ動作終了音が鳴ったらレバーを離せば良い訳です。
ところが、この確認音が小さく、特にオープン時の周囲の騒音が聞こえている状態ではほとんど聞き取れません。しかも確認音の後、即座にウィンドウが上がり始めます。このためサイドウィンドウを上げたくないのに上げ始めてしまうことがしょっちゅうありました。上がり始めてから気づいてレバーを離し、結局パワーウィンドウのレバーでもう一度ウィンドウを下げなければなりません。これが結構いらいらします。
前車SAABでも同じようにルーフ開閉レバーを維持し続けるとウィンドウが上がりましたが、確認音は大きくはっきり聞き取れましたし、音がしてからウィンドウがあがり始めるまで3秒ぐらいの間があったので確実に手を離すことができました。
大した事ではありませんが、これが解消されるのは個人的には魅力でした。

Roof Control Moduleの購入

l-c-tのオンラインストアでクレジットカードで購入しようとするとZIPコード(郵便番号)が違うというエラーで購入できません。
エラーが出るのは恐らくオンラインストアにAVS(Address Verifcation System)が入っているせいでしょう。 これはアメリカのオンラインショップで最近普及してきている認証法の一つで、クレジットカードナンバーとZIPコードをカード会社のシステムに問い合わせると、カードの登録住所のZIPコードと同じものかどうかを照合してくれるシステムです。 しかしZIPコードで照合するのでアメリカに住所があるクレジットカード以外は全てエラーになってしまいます。
そこで、メールでl-c-tに問い合わせてみました。米国外の住所で購入/発送できるのか、できるとしたらその方法は? さらに問い合わせた時はSpring Saleということでmail-in-rebate(送られてくる商品についているクーポン等を送ると小切手で返金してくれる)を行っているが米国外でも小切手を送ってくれるのか? の2点を聞いて見ました。
返事は1日ほどで返ってきました。米国の小さなショップにしてはレスポンスは良いほうです。まず米国外からの購入については大丈夫、購入はオンラインストアで支払い方法をカードではなくCheck(小切手)にして、小切手番号を適当に入れてくれればメールで個別に支払い方法を連絡するということ。また、mail-in-rebateについては米国内のみのフェアで米国外には小切手は送らないということでした。
大体予想通りの返答だったので3月27日にオンラインストアから注文、mail-in-rebate$120を含めて商品が$369,送料を入れると$396.55でした。
3月29日にはPayPalを使っての支払い案内のメールが届きました。メールの指定URLからカードを使って支払いを行いました。(支払いを行う分にはPayPalの会員になる必要はありません)
しかし4月10日になってPayPalから受取人が入金拒否したため全額返金された、とのメールが届きました。同時にl-c-tからも「paypalの請求先住所と注文時の住所が異なるので発送しない。請求先住所と注文時住所は同一でないとダメ」という内容のメールが届きました。実は入力した住所は同一だったのですが、PayPalで住所を入力する時に、国をJAPANにした途端にページが日本語に切り替わってしまったので日本語で住所を入れていました。そもそも県などは日本語のリストからの選択式なので日本語でしか入れようがありません。
l-c-tに事情を説明して、もう一度英語住所で入金し直す旨のメールを送ったところ、今度はすぐにAuctionCheckoutという別の送金サービスのURLのメールが送られてきました。今度こそ英語で住所を入力してカード決済を行いました。
オンラインストアには海外発送は週日換算で10日ほどかかるとあったので、その通りなら4月24日頃に届くことになりますが、4月27日になっても届かなかったのでl-c-tに問い合わせのメールを送りました。
すぐに返事が来て「既に発送済みで追跡サービスによるとロスの国際発送所を24日に出ている」という内容とUSPSの追跡ナンバーが送られてきました。追跡ナンバーがあればUSPSのサイトで自分でも荷物状況を確認できます。結局、

Delivered Abroad, May 01, 2007, 11:05 am, JAPAN
Out of Foreign Customs, April 30, 2007, 11:55 am, JAPAN
Into Foreign Customs, April 29, 2007, 12:11 am, JAPAN
Arrived Abroad, April 29, 2007, 12:10 am, JAPAN 
International Dispatch, April 24, 2007, 11:21 pm, LOS ANGELES AMC 
Electronic Shipping Info Received, April 19, 2007 

ということで4月19日に発送、受け取ったのは5月1日でした。米国内でかなり日数を取ったようです。

Roof Control Moduleの取り付け

ルーフコントロールモジュールの本体はこれだけです。小さいものだろうと想像はしていましたが、思っていたよりさらに小型でした。

モジュール本体の写真
ポケットナイフの全長が約6cmなのでそれよりも小さいくらい。

まずはオリジナルのルーフコントロールモジュールにアクセスするためにトランク内トリムを外します。
ルーフ開閉をトランクが上がった状態で止めてから左右のラッチを外すと下のような写真の状態になります。 この状態にしないとヒンジが邪魔でトランク内のトリムが外れません。

トランクリッドサービスモードの写真
前後どちらにも開くヒンジの構造がよく判ります。

続いてトランク内の左サイドトリムを外します。まずはコンパートメントカバーを外してその左側ブラケット自体もねじ止めを外し、そのあとトランク内後部トリム(三角停止表示板収納部)、左サイドの順に外していきます。
。 取付マニュアルには「後部トリム2つ、サイドトリム6つのプラロックを外せ」の指示とそれぞれ1つだけ位置が例示してあるのですが、サイドトリムの6つのうち、2つは判りづらい位置にあります。一つは後側トリムを外した裏にあり、もう一つは前方奥のヒンジの脇に隠れています。
さらに後部トリムにはトランクランプ、サイドトリムにはコンパートメントカバーのセンサスイッチがあるので裏に手が入るようになったら、トリムをいきなり引っ張る前にコネクタを外さなければなりません。

サイドトリムが外れると下写真のようにルーフ制御モジュールにアクセスできるようになります。
4つのコネクタがありますが、左から2番目と4番目(一番右)を外します。取付マニュアルにも大文字で注意書きがありますが必ず左から2番目(電源コネクタ)を先に外します。(4番目がCAN-BUSコネクタです)

トランク内ルーフ制御モジュールの写真
既に2つのコネクタを外したところ

続いて外した4番目のコネクタ(CAN-BUコネクタ)のカバーを外して(下写真)、コネクタからマニュアルで指示されたピン4本を引き抜きます。カバーやピンを外すときは先が細くて固いもの(一番細い精密ドライバー等)を使うと良いでしょう。
ピンを外したら代わりにl-c-tのモジュールから出ているピン4本を挿します。抜いた4本はl-c-tモジュールに付属のコネクタに挿してl-c-tのモジュールへの入力となります。まさに信号を「横取り」する訳です。

CAN-BUSコネクタの写真
コネクタのカバーを外したところ。まだピンを抜いていません。

後はアース配線を近くのアースボルトにつなぎ、電源とバック信号を付属のエレクトロタップを使って取り出します。このエレクトロタップはあまり見ないタイプで、下写真のように元の配線には噛み込みますが、繋げる方は平型端子を挿すようになっています。一般的に見るのは両方とも噛み込みのものがほとんどですが、これだと狭い所で配線2本をタップに通す苦労がありません。作業がしやすいです。

エレクトロタップの写真
日本でもエーモンなどでこのタイプを出しているようですが、実際にはあまり売っていない気がします。

とりあえず配線を戻したらモジュールの動作テストです。下の左側写真がとりあえず配線が終わった状態です。これでサイドカバーやコンパートメントカバーをつけて(ネジは締めずに)動作確認だけ行います。
OKだったのできちんと固定したのが右写真です。最初はオリジナルルーフモジュール手前のスペースに固定しようと考えましたが、黒いプラスチック枠はルーフモジュールと一体になっています。l-c-tモジュールはケーブル側(コネクタ)に繋がっているので、枠に固定するといざという時にケーブルとモジュールが分離できなくなります。なので、ちょっと面倒でしたが手前のケーブル束に固定しました。

固定前の写真
テスト前の適当につけた状態
固定後の写真
テスト後にきちんと固定した状態

取付マニュアルには作業時間は1時間と書いてありましたが、開始から配線終了までが1時間、動作確認して固定、トリムを完全に元通りにするまでは1時間半ぐらいかかりました。
実際にはトリムを固定しているプラロックが2つほどどうしても外れず、さらに余計な時間を食いました。色々やった挙句に結局ぷらロックを破壊して外しましたが、この手間も入れるとちょうど2時間かかっています。

Roof Control Moduleの機能

l-c-tのRoof Control Moduleにはルーフ開閉をメインに様々な機能があります。
ここでは設定メニューに沿って機能を紹介していきます。なお、Roof Control Moduleは日々アップデートされているようなので、バージョンが違うと私のものとは動作が異なる可能性があることをご理解ください。

とある手順で運転席のボタン類を操作するとl-c-tモジュールの設定画面に入ります。l-c-tモジュール自体をOFFにすることもできますが、この設定画面を出す操作だけは当然受け付けます。OFFにするとそれ以外はモジュールが存在しないのも同じ動作になる、と思ったのですがOFFにしてもオリジナルとは変化してしまう機能があります(これについては後述)。
まずは設定メニューの項目を紹介し、その後メニューの項目に従って説明していきます。

MODULE (ON/OFF)

このモジュール全体のON/OFFをします。モジュールをONにすると何が変わるかというと、大体以下のようなものです。

上の機能はMODULEがONの限りOFFにできません。他にも始動時にMODULEのウェルカムメッセージがMFDに出たりなどの細かな相違がありますが、機能的な変更は上のとおりです。
ここでMODULE OFFにすれば(設定メニューを出す動作を除き)モジュールは完全に機能を停止しオリジナルに戻る、はずなのですが私のバージョンではなぜかMODULE OFFにしてもルーフレバー動作の逆転だけは元に戻りません。他は完全にオリジナルの状態に戻るようで、始動メッセージなども出なくなります。

ただ取り付け後に動作を確認した後、きちんと固定する際にMODULE OFFに設定した状態で配線を外した(MODULEへの給電を切った)のですが、そのあと再度MODULE ONにするまではレバー動作が戻りました。なので完全にオリジナル状態にするにはバッテリを一旦外せば良いのかもしれません。まだ未確認ですが…

この他に気づいた事としては、オリジナルではルーフ開閉中はMFDに"convertible top operating"というメッセージがでますが、MODULE ONの時はメッセージは出ず、タコメーター内のルーフ動作ランプが点くだけになります。 また開閉動作開始時になにか原因があって開閉動作ができない時(PDCで後方に障害物発見とか、コンパートメントカバーが閉まっていないとか)に、オリジナルでは原因のメッセージがMFDに表示されますが、MODULE ONでは何も表示されず、原因が何かが判りません。この点はちょっと不便です。
そして、このメッセージが出ない現象はなぜか停車時だけおこります。走行中の開閉動作についてはエラーも含めてきちんとMFDにメッセージが出ます。 加えて走行中開閉時に設定した速度を超えると"speed limit exceeding"のメッセージが出て開閉動作が中断し、速度が戻った時点で"convertible top operating"のメッセージが出て動作を再開します。
なぜ停車時の操作でメッセージがでなくなるかは判りません。モジュールのバグのような気もしますし、日本仕様の車につけたせいかもしれません。

TURBO BOOST

2.0Tのエンジンでは過給圧がリアルタイムで表示されるようです。私の車はV6なのでメニューに項目があがりませんでした。

PARKING AID (ON/OFF)

リバースに入れると助手席ミラーが下を向く機能機能です。マニュアルには右ハンド車では動作しないだろう、と記述されていますが、とりあえず動きました。
ただし、ミラーが一番左下を向いてしまいます。左ハンドルならこれは一番内側(車体側)下なのですが、右ハンドルなので一番外側下になってしまいます。このままではあまり役に立ちません。
マニュアルにはリバース時の角度を設定するモードへの入り方が書いてあります。なのでこのモードでリバース時の位置を設定し直してやれば良いはずなのですが、幾らやっても設定できません。色々試した結果なぜかこの設定モードではリバース時の角度ではなく、復帰時の角度が設定されているようです。 リバース時のつもりで下向きに設定すると、シフトをRから戻してもほとんどミラーが戻りません。
さらにこのPARKING AID機能は後述のON-REVERSEモードがOFFだと動作しません(ON-REVERSEの副機能のようになってしまっている)。
結局ほとんど役に立たないのでOFFにしてしまいました。

BRAKE ASSIST (ON/OFF)

マニュアルのメニュー一覧には記載されており項目も出ますが、肝心の機能の説明がマニュアルにありません。
そこでメールで問い合わせたところ、すぐに返答が来ました。これは急ブレーキ時にハザードを自動で点滅させて後続車に注意を促す機能だそうです。
しかしEOSにはそもそもABSが作動するとハザードが自動点滅する機能が標準でついていますので、それとどこが違うかが判りません。
ひょっとするとMODULEが減速度合いを計算してABS作動前にハザードを点滅させるのかも知れません。そうであれば「全く同じ」ではないことにはなりますが、簡単には確認できそうにありませんし、基本的には機能が重複している気がします。

ON-REVERSE (INDICATOR/HORN/BOTH/OFF)

リバース時にホーンが「プッ、プッ」となったりウィンカーが交互に光ったりします。どんなものかはl-c-tのビデオをどうぞ。

ROOF MODE (MODE1/MODE1+/MODE2/MODE2+/OFF)

ROOF MODEとありますが、最初のMODULEの項に書いたとおり、MODULE ONでは自動開閉や走行中操作は止められません。
ここで設定できるのは純正リモコンキーでのルーフ開閉と開閉に伴うウィンドウ動作です。 MODE1ではリモコンの解錠ボタンを短く3回押せば自動でルーフが開閉します(開いていれば閉まり、閉まっていれば開く)。閉まる時には最後には施錠もされます。
MODE2はボタンを押す回数が5回になり、OFFではリモコンでの開閉ができなくなります。
+の有無はウィンドウの動作で、+無しではオープン動作時の終了後にウィンドウが自動で上がり、+有りはウィンドウは上がりません。これは「オープン時」の動作の話でクローズ時は必ずウィンドウが上がります。
OFFではウィンドウはオープン時にあがるので、つまりは"OFF+"(リモコン操作禁止でオープン時にウィンドウは上がらない)の動作にはできないという事になります。

リモコンで開閉する時にはエンジンがかかっておらずバッテリーのみで開閉することになりますが、マニュアルによるとルーフ開閉1往復で30Ahの電力を使うそうで、数回繰り返したらバッテリーがあがるので注意せよ、とあります。本当に30Ahなら2往復でバッテリーが上がってしまうことになります。
バッテリーが上がったら面倒なので何回できるかは試していませんが注意した方がよいでしょう。

SPEED SHOWN (MPH/KMH)

次の項目のSPEED LIMITの設定をkm/hで行うかmile/hで行うかを設定します。l-c-tモジュール内の話で、オリジナルのMFDの表示単位とは関係ありません。また、次項で書きますがkm/hできちんと設定できているかちょっと疑問なのでデフォルトのMPHのままの方が無難かもしれません。

SPEED LIMIT (5-41)

走行中に開閉速度を行う時速を設定します。設定値を超えると開閉動作が中断し、戻れば続行します。
私のPROバージョンでは41mile/hまで設定可能です。下限は5で0にはできないので走行中動作のみをできないようには設定できません(Module全体をOFFにするしかない)。
なぜか前項のSPEED SHOWNをKMHにしても、表示はKMHに変わりますが設定範囲が5〜41で変わりません。本来km/h換算では65km/hまで設定できるはずで、そもそもkm/hで正しく設定できるのかちょっと疑問です。

COMFY BLINKS (2/3/4/5/6/OFF)

オリジナルでもウィンカーを軽く動かすと自動で3回点滅する機能があります。このMODULEでは2〜6回の中から点滅回数を選べます。
ただ、オリジナルより使い勝手が悪いです。オリジナルはチョンと軽く動かしてすぐレバーが戻ったときのみ3回自動点滅します。少し長めにホールドしたり完全にレバーを入れた所から戻せば、戻した途端に点滅を止めます。ところがこちらの機能では、長めホールドや完全にレバーを入れてから戻しても規定回数の点滅が止まりません。点滅を途中で止めるには逆方向にレバーを入れるしかないですが、そんな事をしたら当然逆のシグナルが出てしまいます。
以上の理由で点滅回数を長くできるのは良いのですが、止められないのではいまいち使えません。
ちなみにオリジナルの機能と同時にONすると両方が重なって+2回余計に動作するのは御愛嬌でしょう。

VERSION

モジュールのソフトウェアバージョンを表示します。私のは4.99.10です。


使ってみての感想ですが、とりあえず当初狙っていた「ルーフオープン時にウィンドウをあげない」という希望が満たされたので満足です。
走行中開閉は開閉装置への負担が怖くて使用は封印しています。リモコン開閉やレバーを維持し続けなくてよいのはオフ会などで披露する時には便利ですが(笑)、普段は使っていません。
そして色々な所で「直感と逆」と言われ、私も最初そう感じていた開閉レバーの操作。このMODULEで入れ替わって「直感と同じ」になったはずなのですが、残念ながらオリジナルの動作に慣れてしまったのか、逆転してしまった動作にどうも慣れません。加えて同じ位置にあるグラスルーフの開閉レバーは逆転しないので、グラスルーフとルーフ全体で操作が逆さまで、ますます混乱します。
もっともこれも使っているうちに慣れるのかもしれません。

目次へ戻る

2007.5.2

kaishi.00+web@gmail.com